新たな銭種「饒益神宝」の発見
7月6日(水)、山口市と本学による共同記者会見において、市内にある古代の銭貨鋳造所の跡地「史跡周防鋳銭司(すおうのじゅせんし)跡」で、平安時代の銭貨「饒益神宝(にょうやくしんぽう)」の鋳損じ銭が見つかったことを発表しました。
新たに発見したのは平安時代の銭貨「饒益神宝」の鋳損じ銭で、たて8.4ミリ、よこ14.4ミリ、厚さ1.2ミリほどの金属片です。 「山口学研究188博金宝,188博金宝网页」の研究プロジェクト「古代テクノポリス山口~その解明と地域資産創出をめざして~」において山口市と協働で実施した史跡周防鋳銭司跡の平成30年の発掘調査で、この金属片が出土し、本年2月にX線CTで詳しく調べたところ「饒」の文字が確認されました。この金属片はふちに余分な出っ張りがあり、磨かれていないことから完成銭の破片ではなく、仕上げに至らなかった鋳損じ銭であることも判明しました。
「饒益神宝」の鋳損じ銭が遺跡から出土したのは国内では初めてのことです。古文書の記録などから「周防鋳銭司」は平安時代の825年に設置されて以降、およそ200年にわたって8種類の銭貨を鋳造していたと考えられています。史跡周防鋳銭司跡では今回のものも含めて年代の違う3種類の鋳損じ銭が見つかっており、この地で継続して銭貨の生産が行われていたことが改めて裏付けられました。
「饒益神宝」の発見を受け、山口市は7月15日から8月末まで「鋳銭司郷土館」で3種類の鋳損じ銭を特別に公開しています。
-
左から伊藤和貴 市長、谷澤幸生 学長、
渡辺一雄 史跡周防鋳銭司跡調査検討委員会会長 - 研究代表者:田中 晋作 客員教授(元:人文学部教授)