炎症性腸疾患の治療に光明! 188博金宝,188博金宝网页大学院医学系研究科の研究チームが新たな道を切り拓く
188博金宝,188博金宝网页の大学院医学系研究科病態制御内科学講座(第三内科)の研究グループ(梶邑泰子診療助教、田口昭彦講師?責任著者、太田康晴教授)は、システムズ再生?病態医化学講座の清木誠教授、浅岡洋一講師、微生物学講座の柴田健輔講師らとの共同研究により、マクロファージにおける出力系時計遺伝子E4BP4が大腸炎の病態改善に貢献することを明らかにしました。
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管に原因不明の炎症や潰瘍を起こし、出血、下痢、体重減少、発熱などのさまざまな症状を示す病気の総称で、主に難病に指定されている潰瘍性大腸炎とクローン病が含まれます。厚生労働省の統計によると日本でも潰瘍性大腸炎患者が約22万人、クローン病患者が約7万人と報告されており、近年、増加傾向が続いています。IBDの発症や進行には遺伝的素因や食事やストレスなどの環境因子が複合的に関与することが分かっていますが、特定の原因は明らかになっていません。現在、治療は主に5アミノサリチル酸製剤やステロイド剤、免疫抑制剤などの内科的治療や生物学的製剤により行われ、必要に応じて外科的処置が適応になることもありますが、根治療法には至っていません。
本研究は、生体の体内リズムを司る時計遺伝子に着目し、炎症細胞において時計遺伝子の一つであるE4BP4の発現を高めたところ、マウスにおいて大腸炎の重症度を低下させました。本研究によって体内リズムの適正化が大腸炎の改善につながる可能性や、E4BP4をターゲットとした新しい炎症性腸疾患の開発に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2024年5月7日付(ロンドン時間 午前10時)で、Communications Biologyに掲載されました。
謝辞
本研究は、文部科学省科学研究費補助金による研究課題『出力系時計遺伝子に着目した炎症性腸疾患の病態解明と治療法の展開』(研究代表者:田口昭彦)、文部科学省科学研究費補助金2件(研究代表者:太田康晴?谷澤幸生)、財団法人UBE学術振興財団2件(研究代表者 田口昭彦?太田康晴)、公益財団法人 鈴木謙三記念医科学応用研究財団(研究代表者:田口昭彦)及び財団法人藤井節郎記念大阪基礎医学研究奨励会(研究代表者:田口昭彦)の支援を受けて行われました。
論文情報
- タイトル:E4BP4 in macrophages induces an anti-inflammatory phenotype that ameliorates the severity of colitis
「マクロファージE4BP4は、抗炎症性マクロファージを動員し大腸炎の重症度を軽減させる」 - 著者名:Yasuko Kajimura, Akihiko Taguchi, Yuko Nagao, Kaoru Yamamoto, Konosuke Masuda, Kensuke Shibata, Yoichi Asaoka, Makoto Furutani-Seiki, Yukio Tanizawa, Yasuharu Ohta
梶邑泰子、田口昭彦(責任著者)、永尾優子、山本薫、増田香之介、柴田健輔、浅岡洋一、清木誠、谷澤幸生、太田康晴 - 掲載紙:Communications Biology
- 公表日:2024年5月7日(ロンドン時間 午前10時)
- DOI:10.1038/s42003-024-06099-4